タウンポケット in Fukuoka

shimizu_h2005-09-21

 今じゃ六本松の九大前すら地下鉄が通ってしまって、すっかり隔世の感のある福岡の街だけど、その九大の前にあるマクドナルドの2階にタウンポケットというビリヤード屋があった。


 ビリヤード屋という言い方は何とも変な気がするけど、タウンポケットに関して言えば、少なくともビリヤード場というよりビリヤード屋という言い方がふさわしいと思う。
 30分150円という安さもさながら、いつも店番をしているおばちゃんや汚いトイレや、選んでも選んでも反っているキューにしか当たらなくて、しまいには「もう、これでいいや」と諦めてしまうような、そんな笑えない喜劇ような雰囲気はとてもおしゃれとは言い難かった。
 とりわけキュ−と台は、自分たちのやっているのがビリヤードじゃなくてゴルフなんじゃないのか*1と思わせてくれるぐらい悲劇的にぼろかった。


 とか何とか文句を言いながら、学生の頃、休みで実家に帰った時は、夜、手持ち無沙汰になってしまい、深夜0時くらいに付き合ってくれる友達(たいていいつも一緒だったが)に電話して、朝まで4時間ぐらいぐだぐだになるまで打っていた。もともと大して上手くもないのに長い時は5、6時間もやっているわけだから、2時間を超えたあたりから台やキューのぼろさに負けずゲームも中々悲惨だった。


 学生の頃、夏休みや冬休みはたいてい実家に帰っていたが、福岡で飲んだという思い出は少ない。それよりもビリヤード屋で夜が更けるまで、延々とナインボールエイトボールを繰り返していた、あのどうしようもないくらい退屈な時間が一番印象深い*2
 朝4時頃、閉店間際にゲームを終えた台の側にはセブンスターとマルボロライトの潰した箱が一つずつ、黒板には「正」の字がそれぞれ三つか四つずつぐらい並んでいた。


 先月実家に帰った時、九大の側を通りかかると、ビリヤード屋はなくなっていて英会話教室になっていた。
 また、僕を福岡に結びつけるものが一つ減ったわけだが、そんな所にあったぼろいビリヤード屋を覚えている人も少ないだろうから、僕くらい無くなってしまったことを哀しんでやってもいいのかもしれない。

*1:真っ直ぐに打ったショットが羅紗のくぼみにはまって進路を変えた時は、一緒にやっていた友達と数十分笑いが止まらなかった。

*2:実際一番長い時間をそうやって過ごしたんだと思う。