影ぼうし

shimizu_h2005-09-29

 季節も変わって、僕の影もそれらしい存在感を取り戻して、居心地が良さ気な感じだ。


 あるいは居心地が良いのは僕だけで、影の方はめっきり存在感を失って不満気なのかもしれない。


 春から夏にかけては、強い日差しに照らされて地面にくっきりと浮かび上がる影の存在感は強烈で、あちらの方が実体で僕の方は蒸し熱い夏の空気の中に溶け込んでしまったような気がする。


 けれど、夏から秋にかけては、影は徐々にその黒々とした輪郭を失って、うっすらとしたただの僕の影に落ち着ていき、僕の方は外の世界との間に静かな壁ができるにつれ、自分の存在が自然と立ち上がってくるのを感じる。


 そう言えば僕は10月生まれだけど、人は自分が生まれた季節を好きなものなんだろうか?生まれた季節と好きな季節との相関関係については考えたことがなかったな。


 何にせよ、良い季節だ。